家政婦の私が、奥様の遺言を読みます 【第3話】 家族の席に座らせるわけにはいかないわ
夕方、葬式の列のそばに立っていると、里子さんが、タカをちらりとも見ずに言った。
家政婦の私が、奥様の遺言を読みます 【第3話】 家族の席に座らせるわけにはいかないわ のあらすじ
夕方、葬式の列のそばに立っていると、里子さんが、タカをちらりとも見ずに言った。三十五年もいる。母さんのことを、いちばん知っている。翌朝。タカは、奥様の茶碗をていねいに洗っていた。
ここまでのあらすじ(第1話〜3話)
【第1話】 ここからお一人ずつお返しいたします 九十九家の座敷。財産を奪い合った一族が、顔を真っ青にして座っていた。タカさん、おはよう。今日もいい朝ね。紅茶をいれてくれる。ねえ、だからいくらなのよ。さっきから、それを聞いてるの。
【第2話】 悠介の声がまた聞こえる タカは目を閉じ、また手を動かした。聞こえないふりをするのも、家政婦の仕事だ。なぜ『ぼけていた』ことにしたいのか。タカには、まだ分からない。刻一刻と時間が過ぎ、夜になった。葬式の一日が、ゆっくり過ぎていく。
【第3話】 家族の席に座らせるわけにはいかないわ 夕方、葬式の列のそばに立っていると、里子さんが、タカをちらりとも見ずに言った。三十五年もいる。母さんのことを、いちばん知っている。翌朝。タカは、奥様の茶碗をていねいに洗っていた。