あらすじ

名家・九十九家に三十五年仕えた住み込み家政婦・布施タカ。病弱な奥様を最期まで支えたが、奥様の死後、一族は「使用人が財産に取り入った」「金目の物を盗んだ」とタカを罵り、屋敷から追い出そうとする。奥様を「認知症だった」と決めつけ遺言を無効にしようとする一族。だが奥様は亡くなる前、タカだけに分かる形で――家事ノートと一台の録音機に、本当の言葉を残していた。四十九日、タカは一族の前で奥様の遺言を読み上げる。そこにあったのは財産分与だけではない。横領、介護放棄、奥様への侮辱、そしてタカへの深い感謝。声を荒げず、手も汚さず、ただ一人ずつ、奥様の言葉を返していく。最後にタカが選んだのは屋敷の相続ではなく、奥様の名を冠した女性支援基金だった。復讐ではなく、静かな後始末。読み終えた瞬間、亡き人の愛に胸が熱くなるヒューマンドラマ。

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