家政婦の私が、奥様の遺言を読みます 【第5話】 この人も煙にまく気だ

玄関が、しんと静まりかえった。亡くなる三日前。

玄関の空気が小さく震える描写のシーンの漫画 里子のとなりの男がせきばらいをするのシーンの漫画 悠介がさも気の毒そうにしかし冷たく語るのシーンの漫画
タカが悠介の言葉にまっすぐ言葉をかぶせるのシーンの漫画 回想のシーンの漫画 現在に戻るのシーンの漫画
タカが口を閉じるのシーンの漫画 里子が指輪の手を突き出し見下しきって言うのシーンの漫画 悠介の後ろにうつむいて立つ透の全身のシーンの漫画
次の話へ 【第6話】 本当によく笑う子だった 透がまた下を向いた。玄関の空気が、ふっと止まる。

家政婦の私が、奥様の遺言を読みます 【第5話】 この人も煙にまく気だ のあらすじ

玄関が、しんと静まりかえった。亡くなる三日前。奥様は、タカの名前を呼んだ。お、おれは、何も知らないから。本当に、何も知らないんだ。

ここまでのあらすじ(第1話〜5話)

【第1話】 ここからお一人ずつお返しいたします 九十九家の座敷。財産を奪い合った一族が、顔を真っ青にして座っていた。タカさん、おはよう。今日もいい朝ね。紅茶をいれてくれる。ねえ、だからいくらなのよ。さっきから、それを聞いてるの。

【第2話】 悠介の声がまた聞こえる タカは目を閉じ、また手を動かした。聞こえないふりをするのも、家政婦の仕事だ。なぜ『ぼけていた』ことにしたいのか。タカには、まだ分からない。刻一刻と時間が過ぎ、夜になった。葬式の一日が、ゆっくり過ぎていく。

【第3話】 家族の席に座らせるわけにはいかないわ 夕方、葬式の列のそばに立っていると、里子さんが、タカをちらりとも見ずに言った。三十五年もいる。母さんのことを、いちばん知っている。翌朝。タカは、奥様の茶碗をていねいに洗っていた。

【第4話】 欠けててもこれがいいの 茶碗を洗っていた手を止めると、水がぽたりと落ちた。玄関に四人が、ずらりと一列に並んで待っていた。タカはまばたきもせず里子を見た。背すじはのびたまま。

【第5話】 この人も煙にまく気だ 玄関が、しんと静まりかえった。亡くなる三日前。奥様は、タカの名前を呼んだ。お、おれは、何も知らないから。本当に、何も知らないんだ。

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