退職金の半分はもう私のものです 【第5話】 二千二百万の王様

弁護士は「これだけの記録があれば十分」と太鼓判を押す。

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次の話へ 【第6話】 食卓に並べた三枚 月一万——三十五年仕えた対価にエプロンを外し、恵子は三年ぶんの準備を両手に食卓へ戻る。

退職金の半分はもう私のものです 【第5話】 二千二百万の王様 のあらすじ

弁護士は「これだけの記録があれば十分」と太鼓判を押す。恵子はすでに新しい部屋まで借りていた。そして退職金二千二百万円がふりこまれた日、夫は同僚との居酒屋で「妻は俺がいないと何もできない」「逃げる度胸もない女」と自慢げに語る。だがその同じ時間、恵子は静かに新居の最終点検をしていた。運命の夜が、静かに近づく。

ここまでのあらすじ(第1話〜5話)

【第1話】 祝いの席に置かれた紙 退職金がふりこまれた祝いの夜、食卓には特上寿司。上機嫌の夫の前に、恵子はビールではなく一枚の紙をそっとすべらせる。そこには「離婚」の二文字。物語は三か月前へさかのぼる。定年退職した夫は「これからは俺の時間だ」と豹変し、専業主婦の恵子を家政婦のようにこき使いはじめた。我慢の日々の始まりと、あの夜へ向かう静かな伏線とは。

【第2話】 奪われていく居場所 退職金を盾に威張り散らす夫は、レシートを検分し一時間の説教を繰り返す。恵子の外出や友人とのランチまで「誰の金で」と取り上げていく。久しぶりに来た娘・彩の前でも夫は「母さんは俺が躾けた」と暴言を吐き、ついに彩が声を上げる。母を案じる娘に、恵子は静かに「もう決めてある」とだけ告げるのだった。彼女が隠す決意の正体とは。

【第3話】 ゴミ袋の中の宝物 玄関で「我慢は体をこわす」と案じる娘に、恵子は「もう決めてある」と微笑む。そんな折、夫は恵子のたった一つの趣味である裁縫箱を、ガラクタだとゴミ袋に捨ててしまう。夜、恵子はそっと桜模様の布を一枚だけ拾い、鏡台の引き出しに書類とともにしまう。そして語られる、三年前——彼女の心が死んだ、あの冬の夜のこと。

【第4話】 心が死んだ冬の夜 入院先で隣人には家族が駆けつける中、恵子のカーテンの内側には誰も来なかった。天井を見つめ、心の電気がぱちんと消えたあの夜。退院した足で友人・由美子に全てを打ち明けた恵子は、女性弁護士と出会う。「あなたは何も悪くありません」——その一言で初めて涙があふれた。ここから、三年がかりの静かな「準備」が始まる。

【第5話】 二千二百万の王様 弁護士は「これだけの記録があれば十分」と太鼓判を押す。恵子はすでに新しい部屋まで借りていた。そして退職金二千二百万円がふりこまれた日、夫は同僚との居酒屋で「妻は俺がいないと何もできない」「逃げる度胸もない女」と自慢げに語る。だがその同じ時間、恵子は静かに新居の最終点検をしていた。運命の夜が、静かに近づく。

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