資格の数だけ時給が上がる国で、シンママの私が見返した
1話を読むあらすじ
資格を1つ取るたび、最低時給が自動で150円上がる法律のある国。30歳のシングルマザー・橋本美咲は、金にだらしない元夫が残した借金を抱え、正月の親戚の集まりで従姉の由佳に「子ども抱えて借金って、一生底辺だね」と笑われていた。高卒・資格なし・時給1000円。言い返す武器を何も持たなかった美咲だが、3日後、パート先の店長からこの国の制度の話を聞く。「やった分は、国が数えてくれる」——娘の陽葵のため、笑われた夜を見返すため、美咲は小さな机で最初の一冊を開く。数字は嘘をつかない。静かで確実な逆転劇が、ここから始まる。
話一覧
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【第1話】 正月に笑われた私 正月の親戚の集まりで、シングルマザーの橋本美咲は従姉の由佳に「子ども抱えて借金って、一生底辺だね」と嘲笑されていた。借金の額、もらえていない養育費——由佳は皆の -
【第2話】 時給が上がる法律 「離婚してください。陽葵はわたしが育てます」——夫は借金の半分と6歳の娘を残して消えた。もう男には頼らない、自分で稼いで育てると決めた美咲だが、正月の席では由佳 -
【第3話】 ママも今日から一年生 「資格って何から取ればいいと思いますか」——佳代の勧めは簿記だった。勉強は高校ぶり、できるだろうかと不安がる美咲に、佳代は「できるかじゃなくて、やるの。やった分 -
【第4話】 給食費が払えない夜 2月、給食費が口座から引き落とせなかったという学校の手紙が届く。財布には小銭だけ、給料日はまだ先。「ひまり、わるいことしてないよね?」と不安がる6歳の娘に「大丈 -
【第5話】 一人で抱えないで 週明け、店長の佳代に正直に事情を話すと「給料の前ばらいにしましょ」と助け船を出してくれた。「返すんじゃなくて働くの」——その優しさに頭が上がらない一方、時給10 -
【第6話】 二人なら戦える 朝には陽葵の熱は下がった。それから美咲と早紀は、夜に一緒に勉強する仲間になる。早紀は医療事務、美咲は3か月後の簿記試験。「負けたほうがアイスな」と競争を約束し、 -
【第7話】 初めての合格通知 試験会場で鉛筆を拾ってくれたのは、3回目の挑戦だという結城悠斗。「夜に積んだ人の顔をしていますから」——不思議な言葉に肩が軽くなり、試験が始まる。電卓を打つ指は -
【第8話】 お盆のマウント合戦 返済表の最下行に丸をつけ、完済が見えてきた。次はWebの資格——家でも稼げる力がほしい。だが8月のお盆、由佳の嘲笑は止まらない。「150円上がって何になるの?私 -
【第9話】 怒りは長持ちする燃料 「今はまだ、届いていません」——静かに返した美咲を由佳はなおも笑う。だが美咲は言い返す代わりに頭の中で計算した。資格1つで150円、あと2つ取ればあなたの上に出 -
【第10話】 忘れもしないあの声 11月、Webデザインの試験に合格。時給は1300円になり、2段目を上がった。変わったのは時給だけではない。簿記とWebの力で、家でお店のホームページを作る仕事 -
【第11話】 元夫への完済宣言 電話の用件は金の無心だった。時給が上がった話を親戚づてに聞きつけ、「夫婦だった仲だろ?」とすり寄る拓也。「ちょうどよかった。わたしも話したいことがありました」— -
【第12話】 さよなら、閉じこめた言葉 「あなたが残した半分も、わたしの給料で全部返しました。資格を取るたび時給が上がる国ですから」。2枚目は裁判所で決めた養育費の取り決め書類。「これからは決められた -
【第13話】 テーブルに置いた明細 1年前のわたしは、ここで下を向いた。今日は、向かない。「去年言いましたよね。時給になおせば1400円だと。届かない高さがあると」——美咲は時給の明細をテーブルに -
【第14話】 数字で勝った日 「制度は、私を下に見ない。あなたに笑われた夜も、わたしの時給は1段ずつ上がっていました」——由佳は何も言い返せず部屋を出て行った。その背中は1年前よりずっと小さ -
【第15話】 明日も1段のぼる 夕日のベランダで、悠斗が「これからも時々こうして話せるとうれしい」と言った。「はい。友だちとして、よろこんで」。対等に隣を歩いてくれる人——恋になるのかは分から